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「一度誰かに打ち明けたかったんだ。言ってスッキリしたよ。ああ、重い荷物を手放した気分だ……」
谷口は両手を広げ、天井を仰ぎながら、清々しそうに言う。
「…………」
一方の香苗は、またも何も言えない。
「でも、今はまだ誰にも知られたくないから、黙っていてくれないか」
谷口はメガネの奥の目を光らせて、香苗を見た。
「え、あ、はい。分かりました」
面倒なことに巻き込まれるのはごめんだ。口外する気はない。
「ありがとう、それじゃあ準備がんばって」
谷口は片手を上げて、颯爽と会議室を出て行く。
「……一体なんなの」
一度ならず二度までも。
そして二度あることは、三度あるとはよく言ったものだ。
無理やり重い荷物を背負わされた気分になり、香苗は額に手を当てた。
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