1.奇妙な一日

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「……こんな奇妙な日があるなんて」 新田香苗は、屋上の手すりにもたれるよう立ち、はぁ、と息をついて空を仰ぐ。 太陽が西へと傾き、空が茜に色付く頃、今まで目立たなかった月がその存在を主張し始めている。 ふと見た腕時計は、夕方の六時を指していた。 陽が長くなったんだな、と香苗は少しだけ頬を緩ませる。だが、次の瞬間、再び今日の出来事が脳裏に浮かび、渋い表情で首を捻った。
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