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「ここだよ」
二階建ての周りの建物より一回り大きい立派な建物。木造建てで、想像していたよりも穏やかな雰囲気だった。二階に魔物の気配があるのが気になるが、今言うことではないだろう。
「ここが龍の巣……」
ユラの呟きに、ふとどうでもいいことを考えてしまう。
「巣って感じはしないね」
そう言うと、そりゃそうだろとレオに突っ込まれた。
「お前はどんなギルドを想像してたんだい? とりあえず入ろうか」
中に入ると、ずらりとカウンターが並んでいて、たくさんの人で賑わっていた。新規受付と書かれた方へ向かおうとしたレオを、リオが引き止める。
「あたしがいるのに普通の方法で行く必要はないだろう? 上の部屋にいるはずだから、直接行くよ」
にっと笑ったリオに着いていき、二階へ上がる。二階は何も無い部屋で、魔法の練習などもできそうな部屋。その奥にマスター室とプレートがかけられた部屋があり、リオがノックした。
「父さん、あたし。入るよ」
心なしか声のトーンが一つ下がったような気がして、ユラがくすっと笑った。
「リオちゃん、しっかり反抗期とかやってそうだよね」
「全く、何言ってんだい……」
リオが困ったような笑みを浮かべて、扉を開ける。
複数の紙が浮いていて、一枚ずつ取って順番に目を通していた男の人がその手を止めた。目元がリオにそっくりだ。
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