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「おかえり、リオ。君たちも初めまして。話は聞いてるよ。俺はレイビル・カインです。リオの父でここのギルドマスターを務めています。今回はギルドの登録と任務の体験と言った感じかな?」
男の人がそう言ったものの、あまり言葉が入ってこない。思わず魔物の気配のする方へ目を向けて、一歩踏み出して腰を屈めた。
「隠れなくていいよ。出ておいで」
レイビルさんやレオたちが驚いたように目を見開き、ユラが苦笑いする。声をかけられた魔物は驚いたのか、恐る恐る姿を現した。
水色の毛並みに九つの尾を持つ狐の姿。フォルネイは、俺を見て警戒するように後ずさった。
「怖がらなくていいよ。おいで」
そっと顎の下を撫でてやると、首を傾げて口を開いてくれた。
「君は……僕が怖くない?」
「怖くないよ。お手伝いしてたのかな。紙を持っていたのは君だよね」
「うん。そう……たまに、手伝ってる」
まだ少し緊張しているようだけど、大分恐怖は薄れたようで、ほっとする。
「なんで隠れちゃったの?」
「だって……」
「魔物がいると怖がらせてしまうと思ってね。君はどうしてネオのことを……」
レイビルさんの質問には微笑みだけを返して、ネオに視線を戻す。
「ネオって名前なんですね。ネオ、これからは俺の匂いだった時は隠れなくて大丈夫だからな」
「……わかった」
耳の付け根辺りをくすぐってやると、ネオはふふっと笑って頷いてくれた。
「さっすがダン……ネオって父さんにもなかなか懐かなかったのに……」
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