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俺はそれに答えることはなく、中御門に背を向けその場を去る。
部屋を出てからある疑問が浮んだ。
なぜ中御門は俺の作品を打ち切りにする必要があったのか。
そして、あの特典を付けた真意。
彼女のことについては有名作家と出版社の創設者といったキャリアしか分からない。
不自然なものを胸中に感じながらも、俺は中御門の特典について思い出す。
自らを超える作家になれるよう指導する、と彼女は言っていた。
彼女の内心は全くもって知り得ないが、一流になれるというのなら受けて立つしかない。
結局、一流になること自体は俺の夢であることには変わりない。
そのために、俺は作家になったのだ。
―――一流と二流。
俺はそんな格付けが嫌いだ。
本来相容れぬ二人の作家。
そんな彼女との出会いによって、俺の現実に新たな道筋が姿を現した。
今はまだ一歩目を踏み出したばかり。
ましてや、この道が一体何処へ続いているのか。
それをまだ、知る由もない。
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