【2.二流作家はやはり一流思考は理解し難い】

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高校三年間の内である最初の春休みが終わり、学校では新入生を迎える入学式準備の真っ只中である。 この時期になると俺は特に登校拒否反応を示すようになる。 その心は、入学式のような式関係のイベントが春に集中するためである。 新生活だのいう広告がやたらめったら送られてくるのでさえ鬱陶しく感じてしまう。 式といえば、長時間椅子に座らされ興味など皆無の来賓トークを聞くという苦行でしかないものに時間を浪費することに俺は必要性を感じることができない。 よく部活動の大会で競技役員のお偉いさんとか開口一番に「今日は何ともいい天気です」的なことを言うけど、尺埋めにしては無理やりなフリ方だろ。 天気なんざ言わんでも分かるわ。それに、自分の会長就任秘話とか話されても困る。 どんだけ自分をアピりたいんだよ、お前はやたらウザいわりに売れないホストかなんかか。合いの手とかしないで孫の手使ってそうな年頃だけどな。 というか、新入生はむしろ「はるー、門出のー、はるー」とでも言わせておけば充分である。 ……この定型文といい、どの学校も使い回し感がハンパない。 いや、よく考えたら門出って……出しちゃだめか。 話は戻るが、入学式を含め卒業式のイベントには大所帯での準備作業が行われる。 俺の通う県立燕高等学園は進学校であるため、かなり力を入れた装飾がなされている。 保護者へのアピールも含めているからそれはもう頑張っちゃってる。 ……ただし誠に遺憾ながらそれをやっているのは、俺達生徒なのだが。 かくいう俺も式場設営の作業に駆り出されている。 受験準備期にこんな作業やらすとか、ブラック校かよ。
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