4人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな悪態をつきつつ、紅白幕張りや壇上機材の運搬・設置といった作業をする。
時折、「男子ー仕事してー」と聞き慣れた女子の謳い文句が聞こえてくる。
へいへーい、働いてますよっと。
一通りやったところで体育館の隅っこの方に座り込む。何だか体が妙にフィットする。
なにこの隅っこの休息安定感、隅っこぐらしとはこんな感じなのだろうか。
そんなこんなで俺は一休みをしていると、見知った顔が近付いてきた。
やや茶色にちかい檜皮色のポニーテールに、スポーティーな雰囲気をみせるスタイルで、無駄に明るい顔つきの女子生徒が、俺の目線に合わせるように顔を近づける。
「あれ?スガちゃん学校来てたんだー。去年なら、『肉体労働をこの青春ピーク期に強いる正当な理由が存在しないだろ』とか言ってサボってたのに……成長したねー!」
そう話しかけてきたのは、俺の数少ない幼なじみである『秋江 鳴海(あきえ なるみ)』である。
彼女とは、小中高とかれこれ10年以上もの年を、同い年の中で一番共に過ごした人物であるといえる。
親同士の交友関係もあり、昔からことあるごとに顔を合わせていたが故に、仲良くなれたといえるだろう。
また、秋江と俺とでは性格は対照的だ。
大人しく、人付き合いも特に好んでなかった俺と比べ、秋江は活発で人懐っこい性格であるため、彼女と接することで感じる新鮮さに俺は喜びを得ていた。だからこそ、今もこうした友人関係を築けているのだと俺は思っている。
最初のコメントを投稿しよう!