【2.二流作家はやはり一流思考は理解し難い】

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そんな悪態をつきつつ、紅白幕張りや壇上機材の運搬・設置といった作業をする。 時折、「男子ー仕事してー」と聞き慣れた女子の謳い文句が聞こえてくる。 へいへーい、働いてますよっと。 一通りやったところで体育館の隅っこの方に座り込む。何だか体が妙にフィットする。 なにこの隅っこの休息安定感、隅っこぐらしとはこんな感じなのだろうか。 そんなこんなで俺は一休みをしていると、見知った顔が近付いてきた。 やや茶色にちかい檜皮色のポニーテールに、スポーティーな雰囲気をみせるスタイルで、無駄に明るい顔つきの女子生徒が、俺の目線に合わせるように顔を近づける。 「あれ?スガちゃん学校来てたんだー。去年なら、『肉体労働をこの青春ピーク期に強いる正当な理由が存在しないだろ』とか言ってサボってたのに……成長したねー!」 そう話しかけてきたのは、俺の数少ない幼なじみである『秋江 鳴海(あきえ なるみ)』である。 彼女とは、小中高とかれこれ10年以上もの年を、同い年の中で一番共に過ごした人物であるといえる。 親同士の交友関係もあり、昔からことあるごとに顔を合わせていたが故に、仲良くなれたといえるだろう。 また、秋江と俺とでは性格は対照的だ。 大人しく、人付き合いも特に好んでなかった俺と比べ、秋江は活発で人懐っこい性格であるため、彼女と接することで感じる新鮮さに俺は喜びを得ていた。だからこそ、今もこうした友人関係を築けているのだと俺は思っている。
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