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「ホントはな、俺だって来たかなかった。けどな、今日は強制的に登校するよう呼び出されたんだよ。」
ほぇ?といいたげな表情で秋江は首を傾げる。
しかし、考えるのを諦めたようでため息をつく。
「また小説?……そうじゃなくても、ちゃんと学校来なよ。
今年は修学旅行もあるんだしさ。」
バッチリ目を合わせてきた秋江から俺は思わず顔を背けた。
俺は秋江に執筆活動に関して詳しいことは伝えていない。
ただこれだけといった一部分でしかない。
心配するのは当然だろう。
俺は去年の夏休みを過ぎた辺りから、俺は学校への登校を止めていた。
理由は小説の執筆活動のため。
担任には病気療養とだけ伝えた立派な違反休暇だ。
家族には何とか説得を試み、書籍化までという条件付きで認めてもらえた。
だが、俺は秋江にはそのことを半年近く黙っていた。
先程の声音にはほんの小さな怒気が紛れていたのを見逃せなかった。
今はせっかくの書籍化も打ち切られてしまう始末。
そんな事を平気で秋江に言える訳もなく、俺はただ口を閉ざしているしかなかった。
たった数秒間のようで長く感じてしまう沈黙。
秋江が何かを言おうと口を開きかけた時だった。
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