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「ちゃんと来てくれたのね。上出来よ。」
つい先日聞いたばかりの声だ。
振り返るまでもなく声の主が誰なのかは俺には分かっていた。
「あっ……、中御門さん。おはよー!」
秋江の視線が中御門へ移る。
彼女が中御門へ声をかけたところで、俺も中御門へ視線を向ける。
「お早う、秋江さん。」
その挨拶から二人は軽く会話を交える。
どうやら、二人はある程度は話せる仲のようだ。
「そうそうスガちゃん、冬休み明けにクラスにきた転校生の中御門 千夏さんだよ。」
秋江が中御門を紹介すると、中御門は他人行儀に軽く頭を下げて言った。
「宜しく、春日井 亜戯斗君。」
「……ああ。」
こいつ……さも初対面みたいな顔してやがる。
「あ、あれ?私まだスガちゃんのこと紹介してないけど……中御門さんは知ってるの?」
秋江が不自然な点に気付いたようだ。
確かに、言われてみればその通りである。
端から見れば、俺と中御門は初対面のはずだ。だが、現在では俺も中御門も既にお互い面識がある。
「昨日、ちょっとした用事で春日井君と顔を合わせる機会があったの。
それで、少し話をね……」
「そっかぁ……。ん?でも昨日のスガちゃんの用事って―――」
中御門は戸惑うことなくはっきりと事実を告げた。
だがまずい、先日の俺の用事といえば、スターノベルスに呼び出された事だけだ。
今、秋江に打ち切りの話を知られる訳にはいかない。
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