【1.二流作家は当然一流作家への夢を見る】

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仕方ない、潔く諦めるのも大事だと両親から教わっている。 言い訳なんかあんた下手じゃないとよく言われてきてこのザマである。 全く……ママンの言うとおりだったよ!!(泣) そんな内心を明かす訳もなく、俺はただため息で反応を示す。 「他に言い訳が無いようなら了承したと、そう解釈していいのね?」 俺は黙って首肯する。 中御門も俺の反応を見て満足そうにコクリと頷いた。 ふと、窓から渋谷の町を見やるとそこには朝方と比べて多くの人間が街路を行き来していた。 気付けばもう昼過ぎだ。 時間の経過を気にしてなかったせいか、突然あくびが出る。 「そういえば、早朝からの呼び出しだったわね。 ごめんなさい、今日の予定では早く済ませるつもりだったのだけれど……、詳しくはまた明日話すわ。……それと、明日までに次回作のプロットを練ってきなさい。それだけよ……、もう帰っていいわ。」 「本気で謝ってんのか、スパルタなのかどっちなんだよ……。」 俺がぶつくさと文句を垂れていると、中御門は静かに瞑目し呟いた。 「どちらもよ。」
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