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酔った女に乗っかられて
玩具にされた話は、
誰にもしていない。
俺は男なのに、
そんなこと情けなくて言えるか。
子どもを笠に着て
被害者づらするのも、ごめんだし。
誰に許されようと、
俺の自尊心がそんなこと許さない。
「前に藤堂さん、
ハンムラビ法典の話したじゃん」
「ん? ああ」
「あの時殴りかかってきたのも、
こいつだ」
「……それは因縁深いな」
「駄目だ、俺。
こいつ相手に容赦なんてできねえ」
立ち上がろうとするが、
膝が笑ってうまく立てねえ。
すぐにどすんと
尻から落ちる俺に、
藤堂さんは「もう少し座ってろ」と
やわらかく諭す。
「二度もこてんぱんにして、
まだ許してやれないのか」
「だってこいつ、
本当に志緒のこと好きなわけじゃない」
「何だって?」
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