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朝から引っかかるような
気がしていたが、
なんか喉が痛い。
咳払いしながら
家の前の通りに差しかかった。
家の前に誠司達がいて、
ぎくりとする。
ぎくりとした自分に驚いた。
身体が強張ったのは、
誠司の姿を見たせいじゃない。
──その隣にいる、志緒の姿。
彼女のせいで、
俺の足は一瞬だけ
動かなくなったのだ。
さっきまで、よく知らない女に
突っ込んでた部分を
両手で隠して逃げたくなった。
馬鹿馬鹿しいけど。
「あっ、タクちゃーん!」
真っ先に反応したのは章子で、
両手を上げて俺に向かってくる。
章子との挨拶は
意味のないハイタッチ。
いつからできた決まりか
知らないが、
もう身体が先に反応する。
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