爆弾低気圧のつくりかた

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  「俺への腹いせが 半分混ざってる。 俺の身内を傷付けて、 勝とうとした」 「この坊やが、そう言ってたのか」 「いや、訊かなくても判った。 ……なんか、そう思った」 俺の茫洋とした視線を、 藤堂さんが目を細めて 確かめているのが判った。 自分でも、この張り詰めた感覚を 他人に伝えきれるとは 思ってないが。 判るんだから仕方がない。 藤堂さんは、 その場に溜め息を落とす。 「判った。……怪我はないな?」 「え? ……あ、うん」 「そのまま帰れ。 この坊やは、俺がどうにか 片付けておくよ」 まるで散らかった ただの部屋のことを 言っているような平坦な口調で つぶやき落とし、 藤堂さんは 倒れて動かない男を よいしょと抱えた。 「え? どうにかって」 「莫迦。 こんなことがばれたらお前、 ただじゃ済まないだろうが」 「ちょっと待って、藤堂さん……」 「考えがあるから、安心しろ。 いいから餓鬼は帰れ」 きっぱりと空気を打つような その声は、 全然フリーターなんかじゃなかった。 .
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