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あの日は大学の卒業式も終わり、
数日後にある入社式に向けて
今まで働いていたバイトを辞める最後の日だった。
「うわぁ、すごい綺麗だなぁ。
今年は開花が早い分散るのも早いって聞いてたけど、まだ全然残ってるし良かった。」
バイト先である叔父の智(さとし)さんが経営するBar「7-seven-」で
僕の送別会をしてくれていたのに、
騒がしいのが苦手な僕は少し気分転換がしたくて
こっそり抜け出し、お店からほど近い公園に来ていた。
大学入学と共に智さんに無理矢理バイトに連れて来られて以来、
僕が気を抜きたい時に来るお気に入りの場所。
大きな桜の木が数本と、ベンチが少し置いてあるだけの小さな公園だ。
仕事を抜け出し、ベンチに座って数分ぼおーっとしてるだけで
心が洗われた気分になるのが好きだった。
昼間は近くに住む人達が、お花見に来るので賑やかになるけれど、
さすがに今は夜の11時を過ぎているおかげか、貸切状態だ。
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