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泣いている綾一に、あれは普通の事で気にする事は何も無いと、重くならない様に軽口を言いながら説明していたけど、
内心は必死だった。
もし綾一に嫌われたらと思うと、めちゃくちゃ怖くなった。
綾一のいない頃に戻るなんて、今の俺には考えられないし、
これ以上綾一を泣かせたくない。
だから俺は綾一の気持ちが追いつくまで、キス以上は絶対に手を出さないって決めた。
それからが俺と忍耐との戦いの始まりだった。
それなのに綾一が可愛い過ぎて、すぐ俺の理性は挫けそうになる。
初めて入った綾一の部屋で、今まで部屋に入らなかった理由を聞かれた時も、
おどけて誤魔化したけど、あれは本心だった。
部屋中にある綾一の気配や匂いの中でキスなんてしたら…。
決めたばかりなのに絶対襲っていた。
昔の俺は淡白だった…筈だ…。
でも綾一と一緒だとそうはいかない。
いつでも抱き締めてキスをしたいと思うし、許されるなら今すぐでも抱いてしまいたい。
綾一の艶めいた顔や、イク時の甘い声を聞いてしまったからか、前より歯止めが効かなくなっている。
一度でも深いキスをしたら、もう止まらなくなりそうで、
綾一と居てもいつも以上手を出せなくなっていた。
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