第4話 パンツ女

パンツ女

　今朝一番に訪ねると決めたのは　

　5棟連なるマンションの1つ。

　インターホンを4軒分押す。

　予想外に4軒すべて在宅だった。

「今から伺います」

　とオートロックを開けてもらい、

　エレベーターに乗り込み

　上の階から配達に回る。

　9階で俺が降りると入れ替えに

　ふっくらとしたＯＬらしき女性が

　エレベーターに乗り込んだ。

　会釈をしてすれ違う。

　俺は目的のお宅に無事に荷物を届け、

　今度は3階へ向かうために

　エレベーターを待った。

　『9階です』

　と機械的なガイダンスに合わせて開いた

　エレベーターの中に

　先程エレベーターに乗り込んだばかりの

　ＯＬの姿があった。

「ここ、9階ですよ？」

　と思わず声を掛けると

「忘れ物しちゃって」

　と恥ずかしそうにはにかまれた。

　少し考えればそうに決まってる。

　余計なことを言ってしまった。