第4章 男なんてもういいと思ったり

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「そうかな? イマイチって顔で腕組んで睨みつけてたように見えたけど」 クスリと笑った彼に、頬が熱くなった。 「イマイチっていうか……ちょっと足りない気がして。あっ、すみません」 「いやいや、言って欲しいな。何が足りないのか」 「――ええと、なんていうか、すごく素敵なんですけどこのディスプレーに『締まり』がないんですよね。 絵画のように素敵だから『額』をつけたらグッと締まって深みが出そうな気がします」 ショーウィンドウを見詰めたままそう言った私に、高宮さんは押し黙った。
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