第4章 男なんてもういいと思ったり

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デパートの隣にある『和処』はまるで個室のようにテーブルごとに区切られていて、込み入った話をするときに利用していた。 二人で向かい合って座りながら、定番のザル蕎麦定食を前にしながら、どうやって切り出そうかと息を呑んだ。 春香は、私が陸くんのことを好きだったのを知ってるから、なるべく重く受け取られたくない。 だからなるべく軽く、『あのね、陸くんに聞いたんだけど』って笑顔で切り出したい。 同じ人を好きになって、自分は選ばれないってこんな苦しいことはないけれど、きっとその逆も気持ちのいいものじゃないだろうし。
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