第6章 恋愛はいらない。

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成美は入店用透明バッグを手に自分の売り場を出るところだった。 今は夜の7時すぎだから、きっと中番で帰るところだったんだろう。 「成美、なんだか久し振り」 「ちょっ、ちょっとこっちにおいでよ」 と成美は私の手を引いて、ひと気のない非常階段に連れて来た。 「会ってちゃんと話したいと思って、なんだかメールも出来なかったけど、心配してたんだからね」 二人きりになるなり涙を浮かべて強い口調でそう告げた成美に、驚いて目を開いた。
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