第8章 ステップアップ

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「そして『陸くん』の件は、正直彼の気持ちが分かるな」 シミジミとそう漏らした高宮さんに、 「どうしてですか?」 と驚いて身を乗り出すと、彼は自嘲気味な笑みを浮かべた。 「俺も昔、付き合ってた女の子と別れた後ストーキングされて、ひどく怖かったことがあるんだ。 ……そういうのって神経が参るんだよ。自分のことも責めるし。 そんな中、ちょっといいなと思ってた女の子が近付いてくれて、ホテルに行けたらそれは嬉しいし、それが態度にも出ると思う。 いきなり帰るって言われたら、若い上に普段よりも気持ちに余裕がないから『おい、ちょっと待ってくれよ!』って感じになることもあると思うんだ」 ああ、たしかに、そんな感じではあった。
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