第11章 あの頃の気持ち

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「だけど高宮さんは結婚している人だったから、ずっと抑制して来たんです。 でも、高宮さんは結婚指輪をつけていなかったり、一人で暮らしているようなことを言ってたから、結婚が上手くいってないのを感じていて……。 だけど上手くいってなくても既婚者には変わりなくて。 私は親や友達に心から喜んでもらえないような恋愛はしたくないって思ってて……」 ――息が苦しい。 「だから私のいない二年間に、高宮さんの事情が変わっているかもしれないって勝手に期待しちゃってて」 涙が、止まらない。 「あんな風に抱き締められたまま、離れたから」 それ以上は話せなかった。 高宮さんに肩を引き寄せられて、強く抱き締められていた。
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