第11章 あの頃の気持ち

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「奥さんはどうして?」 「……彼女は同業者だったんだ。 あるイベントの舞台設置の現場作業中に、舞台が倒れてその下敷きになって」 目を伏せながらそう告げた彼に、胸が痛んだ。 「俺はずっともう恋愛もしないつもりで、結婚指輪もつけたままだった。 だけど、有紗に会って『結婚してるんですね?』って確認されて、胸が騒いだんだ。 君に会って、また恋愛をしたいと思うようになった。 死んだ妻の墓に行って、『歩き出してもいいか』って謝って……指輪を外したんだ」 目を見詰めたまま、そう告げる。 バクバクと鼓動がうるさい。
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