コスメティック・ラブ 第11話

第11章 あの頃の気持ち

「自分が独り身だってことちゃんと伝えて、なるべく君にアプローチしたけど、君はちっとも振り向いてくれないから、奥さんを亡くした過去を持つ男なんてイヤなんだろうなと思ってた」

切ない表情でそう告げた彼に、

「そんなこと」

と首を振った。

もうずっと、誤解していた。

「私は高宮さんが奥さんと別居中で、寂しくて私にちょっかい出しているんだと思ってました」

目に涙が浮かぶ。