始まりは秋

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この前の席替えで窓際の一番後ろという好位置を獲得して喜んでいたのだが、如何せんアホだから先生にあてられた時のヘルプを怠っていた。地域住民とのコミュニケーションはマジで重要 今は、授業が終わって小休止なわけだが、男子は早弁や、近くの席の人と駄弁ってる。女子はおしゃべりに花を咲かせている。ふと、視線を横に向ける。隣の席には横田さんという女の子がいるのだが、学年でもなかなか成績良くて、クラス内でもかなり上位の学力を有すお方だ。横田さんもいつもはグループの女の子たちと会話をしている光景を見るのだが、今日はそうでもないようで暇そうにしていた。というか、プリントに興味津々といった風でチラチラと見ているまである 「あー…横田さん、ちょっとこれなんだけど、さわりだけ教えてほしいんだけどお願いできる?」 突然の申し出に驚いたようだったが、やってみると意気込み、差し出したプリントを素直に受け取り、読み進めていく。首を捻って考え込んだり一生懸命に解いてくれていた。 「えっとね、自信はないんだけど、なんとなくは分かったかな。間違ってたらごめんね」 しばらくして、謙虚すぎるほどの答えが返ってきた。俺からしてみればここまで真剣に考えてもらって申し訳ないとさえ思ってるんだが、彼女の説明はかなり分かりやすい。 「このお話はこういうことで、特にここの前置詞の多いところは熟語が多くて、動詞が二つあるところはthatが省略されてるからこういう風につなぐといいよ」 ひとつの机で向かい合って行われる勉強会、たまに視線が合うのがなんだか新鮮で、横田さんは慣れてないようで、あははとはにかんで顔を赤くする。 よく見ると…可愛い、よな?
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