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すると以外にも男は天井を見上げて笑った。
「ははは。いつまでも、そうやってほざいているがいい。馬鹿どもが。」
身の毛もよだつ声だった。
俺は思わずナイフを落としそうになった。
フードの外れたその頭部は一本の髪の毛もなく、痩せこけた頬とギョロリと見開かれた目はまさに“骸骨”のようだったからだ。
マラム神殿の司祭とは皆このような姿をしているのだろうか…。
俺はナイフをベルトに戻して剣に持ち替えた。
なるべく近づくことなくとどめを刺したかった。
俺がやつの喉に剣を突き立てたとき、男は再び口を開いた。
「よく聞け、小僧。」
俺の体はビクッと震えた。
「我が主、“夜の神クゲラファン”は三日前、我々に向かって仰せになった。
次の夏が来る前に、太陽帝(アピマ・タハリ)を大いなる厄災が襲うと。」
「何が夜の神だ。この国じゃ、誰もそんなもん信じやしないぜ。」
そうは言ってみたものの、自信を保つための一手段にすぎないのだと気づいていた。
二年前、疫病の流行を予言したのもマラム神殿の司祭たちだった。
はなから笑い飛ばすわけにもいかない。
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