プロローグ

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西暦と呼ばれるものが使われなくなってからもう何百年も経った。 愚かな古代人によって汚されたこの地に神の裁き『大いなる流星』が落とされ、その姿は一変した。 強烈な爆風と磁気の嵐で都市は壊滅。 異常気象や疫病の流行、劇的な環境の変化により様々な生物が絶滅し、またあり得ない速度で姿形を変えていった。 人間もまた、荒れ果てた大地の上でその多くが滅んだという。 しかしそんな中、生き残った人々は集い再び文明を築いた。 電気も水道もガスも存在しない原始の文明を。 彼らはなぜ古代人が滅んだのかを知っていた。 『セキユ』と呼ばれる悪魔の水を地下から掘り出し、『ジョウホウツウシンギジュツ』と呼ばれる魔術を使い、『コウソウビル』という砦で地上を埋め尽くしたからだ。 人々は古代の技術を忌み嫌い、狩猟や耕作をして暮らした。 ヌガラという国もまた、そういった人々の文明であった。 そこには民と秩序を守る王『太陽帝(アピマ・タハリ)』と、森や泉を守る王『水月帝(ブラヌ・アイル)』が存在していた。 豊かな土地と有能な王のもと、ヌガラはどの国にも負けない大国であった。
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