森で出会ったものは・・・・

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俺は、洞窟の入り口まで漸く出てきた。 そして、外の景色を見て固まる。 そこは高い崖の中腹で、眼下に広がるのは広大な森。 でか!ひろ!ってのが、俺の感想。 俺の口は、どうやらまだ言葉を発するにはむいてないらしい。 話そうとはして見たんだが、呻き声みたいな叫び声みたいなのは出たんだが、言葉にはならない。 意思疎通は今のところ、変な・・・・・仮に名付けた精霊とだけのようだ。 そう。常に俺の周りに居る何者かを俺は精霊と名付けた。 明るいこの場所に出て来て初めてはっきり見えたんだ。 小さな蝶のような羽を持った、人の形をした女の子達。 色んな色が有る所を見ると、良く小説で見たような属性?などがあるのかもしれない。 俺は崖の淵から下を覗いた。 高いよな。どうやって降りるんだ?これ。 俺は自分の背中を見る。 そこには、小さな翼がついてるけど・・・・・・・小さすぎるよな。 動くかどうか動かしてみる。 自由に動くけど自分の力じゃどうしても・・・・・やはり、身体が浮かばない。 悔しくて眉が寄る。 すると、精霊たちの中で、緑色の精霊達が無数に集まり始めた。 そして、それらが俺の翼に吸い込まれるように入り込んで行く。 暫くすると、俺の翼の周囲で風が起こり始めて、俺の身体はフワリ・・・・・っと浮かんだ。 『大丈夫。坊や。私達が助けてあげる。下に降りたいのでしょう?任せて』 そう声が聞こえて、俺の身体は浮かんだまま崖の淵から外に出るとゆっくりと下に降りて行き始めた。 俺は、不安に思いながらも下を見つめて翼を動かす。 ゆっくりと降ろされて、俺は漸く下の大地に降り立った。 それと同時に、俺の翼から無数の精霊達が飛び立って行く。 どうやら、俺の中に入り込んで浮かぶのを手伝ってくれたようだ。 (ありがとう) 俺が思うと、嬉しそうに周囲で舞い踊る精霊達に苦笑して、俺は歩き出した。 人のようには歩けないので四つ足で歩く。 まだ、小さな身体に不安を覚えつつ、あのまま上にずっと居ても何も判らないし、いつかは外に出なくてはならないから。
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