鍛冶の街 ドーテリア

2/79
8976人が本棚に入れています
本棚に追加
/692ページ
「おお!見えた見えた!」 俺は、ドラゴの背中から背筋を伸ばすように向こうを見る。 沢山の煙が街から上がってる。 魔物の侵入防止用の壁は、硬い石を中心に土で固めて硬化の魔法陣が刻んである。 壁の横を走りながらそれを見て、俺は中はどんな街なんだろと期待に胸を膨らませる。 漸く、子供の姿じゃなくなった俺は結構楽しみだ。 この街で出来れば人間用の武器を手に入れたいなと思ってるし。 手に入るかどうかは、運次第だな。俺の力に耐えられる武器ってのは難しいよなあ。 やっぱり、龍の力って尋常じゃ無いんだろうなあって思う。 俺達は、ゆっくりとドラゴを誘導すると門でカードを出して、中に入る。 勿論、お約束のようにドラゴは驚かれたし、欲しそうな表情の人達。 だが、俺達以外の指示なんかにはこいつは絶対に従わないぞ? プライドの高い龍の一族だしなあ。家畜とは違うんだよ。 人間に媚びて楽な生活をするよりは苦しくても、自由な生活を望むのが、俺達の習性だしな。 勿論、門で人が触ろうとしたら威嚇してたよ。ドラゴ。 だから、余計に俺達は睨まれたけどな。 でも、ドラゴに触ろうとした奴が悪いからな?あいつの習性を理解してないんだろうな。きっと。 俺達は、そのまま街に入ってギルドまで一直線に向かって、裏にドラゴを預ける。 世話をする人が青ざめて慌てて居たが、俺達が世話は自分達でするから、置かせて貰うだけで良いと言ったら、安心してた。 それから、ドラゴの寝床の準備をして、食事は街に入る前にタップリと済ませたから水だけ置いて、俺達はギルドに寄って依頼や採集品を確認する。 幾つか所持してるものも有ったので、その依頼を確認して受付に行こうとして、一つの依頼が目に留まる。 俺は足を止めてその依頼を確認すると、掲示板から剥がした。 「ん?何か有ったのか?」 俺はその依頼を見つめて言った。 「これを受けようと思ってな」 俺の言葉に、横から覗き込むガド。中身を確認して眉を寄せるガド。 「これ・・・・・・・・。嫌な予感しかしねえんだが?何とかなるのか?」 俺は頷いて言う。 「こいつは、誰も受ける奴は居ないと思うぞ?」 俺は、受付にその依頼とカードを出した。 受付はカードを受理して依頼書を見て顔色を変えた。 「これを受けるんですか。本気で?大丈夫ですか?」 真剣な表情で俺に問い掛ける受付。
/692ページ

最初のコメントを投稿しよう!