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俺は、そのまま龍の姿で海の中を泳ぐ。息が苦しくないってのは、不思議だよなあ。
でも、中々心地良いな。俺はそのまま水面に近寄りかけて、もう一度姿を獣人の姿に変えた。
そして、そっと水面から顔を出した。気配も何もかも完全に消している。
そこには、マストの折れたボロボロの船が浮いていた。甲板には、沢山の人間達が転がってる。皆、傷はローブを被った人物が治しているようだ。ローブを被った人物が言った。
「人間の被害は出なかった用ですね。良かった」
すると、甲板に横になった男が言った。
「で、でも、商品は全部化け物に攫われてしまいました。教祖様。俺達は、このままでは死んでしまいます。助けてください」
男の言葉に、ククククッっと笑うと教祖と呼ばれた男は言った。
「では、貴方達は今日から教団の為に働いて貰いますよ?このままでは、生きては行けないのでしょう?私達の教団は協力者を募集しています。人手は幾ら有っても良いのですよ」
そう言った教祖の言葉に、男達は次々に起き上がる。
「俺達は、教団の信者になるのか?今よりも良い生活になるんなら良いけどよ」
「教団って、戒律とかが厳しいって聞いた事が有るぞ?どうなんだ?」
彼らの言葉に、教祖と呼ばれた男はフードを外して素顔を表す。そこには、美しい金髪碧眼の男性が居た。
「大丈夫ですよ。規律は厳しくは有りません。階級があって、それを守ることと人間を1番に考えて行動する事。そして、神龍様には逆らわない事。以上ですね」
教祖の言葉に男達は驚く。
「え?それだけ?」
教祖は笑顔で頷くと言った。
「はい。そうですよ。教団の幹部には、動物の大好きな者も居ましてね。 沢山のペットを飼ってるものが居るのですよ」
目を細めると、笑顔で言った。
「は?ペットだあ?」
ふざけてるのか!っと言い出すものもいたが、中には気がついたのか青ざめる者もいるかと思えば、喜色の笑顔をする者もいた。怒りの声を上げた男に声を掛ける別の男は、囁いた。
「は?まさか!じゃあ!」
その様子に教祖は満面の笑顔で言った。
「ふふふふ・・・・・・。気がついたようですね。そうですよ。人間でない者はすべからく滅ぶべき存在。ならば神に仕える者としてその者達を導き、教育するのも私たちの勤め。最後に神の身許に送って差し上げれば良いのですよ」
そう言って微笑む教祖に俺は虫酸が走るのを感じた。
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