港町 クラートス

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俺の言葉に、ガドは首を捻る。 「それって、どう言う意味なのか・・・・・・・・聞いても?」 俺は困惑した表情で頭を掻きながら言った。 「精霊達に前に聞いたんだ。神龍って、どう言うものなんだって」 俺の言葉に、ガドは目を見張る。 「精霊は言ったんだ。 ・・・神龍は、世界の象徴。中心。愛し子。調整を図る者。魔法の中心。全てを知り・理解し・操り・バランスを保つ者でなくてはならない。・・・のだと。そうでなければ世界は崩壊に向かい、この世界は無に戻ってしまうと。 無の世界には争いも何もないが、生きる者も死ぬ者も居ない、大地も水も空気も何も存在しない場所になってしまうと。そうなってしまえば、そこには再び命が芽吹くことも何も無いと・・・」 俺の言葉に青ざめるガド。 「なん・・て事だ・・だから、精霊達がユーイに色々教えてるって事なのか?」 俺はガドの言葉に、コクリっと頷く。 「そうだな。精霊達は俺が神龍だって、ハッキリとは絶対に言わないんだ。けどなあ、端々で感じるからな。俺も手を抜く事は嫌いでな。性分なんだろうな。俺は、昔からやると決めたら手を抜くという事が出来なくてな・・。だが、その為に倒れるという事も嫌いだからな、必ず体調を確認しながら出来るギリギリを確認しながらする事が多かったんだ」 だから引き寄せられたのかなって、最近思うんだよな。向こうで俺はきっと、過労死か何かになってんだろうなあ。日頃の俺を知ってる奴は、俺が過労死でも納得するだろうな。 ちょっと、計算を誤ったんだろうなってさ。他の奴ら以上に動いてたし、仕事して勉強して、充実してたんだがなあ。もう一息で、個人病院を建てられるだけの資金も集まる予定だったし。全部、俺の育った孤児院への寄付になったんだろうな。 そう、遺書は書いてたし・・・不慮の事故で・・・なんてなった場合に遺書は常に書いて置いてたしな。勿論、専属の個人弁護士に頼んでさ。 そんな、向こうの世界の事をちょっと思い出してたら、ガドが言った。 「ユーイって、産まれて一年経って無いよな?」 俺は首を傾げて言う。 「まあ。そうだな。それが、どうかしたか?」 俺の顔を真剣に見てガドが言った。 「前からずっと思ってたんだが、ユーイのギルドカードにも、仮として32ってあるじゃんか。 お前の年齢って実際その位有るんじゃね?そんな印象が最近、凄く強くなってるんだが?」
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