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一呼吸置いて、俺は続ける。
「俺は、向こうで得た知識を使って、こっちで生きる為の準備をしたんだって思うんだよな。
向こうで得た医学の知識を使って俺はこっちで生きるために向こうで生きてきたんだなって感じてるんだ。
俺は、元々こうしてこっちに知識を持って来る為に向こうで医学を必死に学び、多くの他の知識も学んだんだと理解出来たんだ。
向こうで・・・・・良く言われた。
何故、まるで寸暇を惜しむかのように、時間が無いと言わんばかりに子供の頃から努力を続けるんだと・・・・自分自身が楽しむように何故出来ないんだと・・・良く聞かれた。
それが、今なら良く判る。俺はこっちに来た時の為の準備をしていたんだと。
だから、時間が無かったし余裕が持てなかったんだ。
不思議なんだがな。今は、そう確信しているんだ」
笑顔で言う俺に苦笑するガド。
「不思議な話だな。でも、それじゃユーイは唯、世界の為にだけ生きてるみたいじゃん。
折角産まれて、この世界に生きてんだ。自分が楽しむ時間も必要だぜ?
世界の為にやらなきゃならない事が有るのは判るけどさ。時にはちゃんと自分だけの時間ってのも作れよな?」
そう言って満面の笑顔で俺にVサインを向けるガド。
俺は判ったと、苦笑して言った。
その後は、ガドは精霊達に空間に連れて行かれていたし、それを合掌して見送った後、俺はもう少しクッションに横になった。
急激な身体の変化で少し気だるい感じがしたから。
俺は、その町では馬車からは外に出なかった。
ガドに、手続きなど全部して貰って、食料や必要な備品などの手配も頼んで、それから再び出発した。
町を出発する頃には身体も馴染んでいて、移動しながら鍛錬を続けた。
武器を使っての狩も練習して見たが、俺の力に耐えられる武器が難しいようだと思った。
ちょっと力が入ってしまうと、直ぐに折れるのだ。
それでは使い物にならない。
人型の時に使う武器を何処かで手に入れないといけないなと思った。
普通の武器じゃあ無理だよなあ。
でも、自分の力や動きに耐えられる武器なんて・・・・・・・・どうやって手に入れる?
大きな課題だなって・・・・・・この時は思ってたんだよな。
意外と簡単だったのには驚いた。
それは、次の街で判ったんだよな。
次の街・・・・・・そこは、鍛冶屋の街。
鉱山が近くに有る街。
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