本編

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男は牢屋の中で泣き続けた。 何故(なぜ)だ? 何故、自分がこんな目に遭わねばならないのだ……。 俺は被害者側なのに! 社会は加害者を責めず、怒りの矛先は、『美し過ぎる』というだけで、被害者である自分に向けるのだ!! 男は釈放を求めたが、男の声に耳を傾ける者は、いなかった。 この顔のせいで、俺は犯される・・・ この顔が悪いんだ。 この顔さえなければ・・・ この顔さえ、綺麗でなければ・・・ この顔さえ。 男の考えは変わって行った。 精神的にもすっかり病んでしまった男は、ある日。 変わらぬどころか一段と美しさを増すその顔を、自身の手で傷つけた。
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