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見回りの警官が、そんな変わり果てた男に気付く。
美しさを失い、逆に醜くなった男の顔。
ズタズタに爪で切り裂かれた顔面は、血まみれで、原型を留(とど)めていない。
「そんな顔なら、もう外に出ても良いだろう」
そして男は あっけなく釈放され、刑務所を出所したのだった。 男は喜ぶ気力さえ失っていた。
男の変わり果てた醜い姿を見て、何も知らない人々は口を揃えて言う。
「一昔前、あの人は”美し過ぎて、性犯罪を増やしかねない”と言う理由で、なんの罪もないのに、牢屋に入れられたんですって。信じられないわ」
「あんなに醜い男に欲情する男たちって、どんな人なんでしょうね」
「きっと同じくらいに醜い人なのよ。相手にしてくれる女性がいないんだわ。だからあんなに醜い人、しかも男に手を出すんだわ」
こうなってやっと、加害者側に批難(ひなん)の目が浴びせられた社会に、虚しさが込み上げる男だった。
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