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ヴィスカールの部隊がウツケールに帰還したのは、その年の年末だった。
雪がちらほら降っていた。
帰還後、ヴィスカールが最初に行ったのは、戦死した部下の遺族への弔問だった。
異例中の異例であった。
罵倒もされ、泣き崩れる家族や恋人もいた。
それでもヴィスカールはじっと耐え、全員の遺族に会った。
彼は口下手で、言葉も作法もなっていない。
ただ、
「俺の指揮が悪かったから殺しちまった」
と、全員にそう詫びた。
ヴィスカールは、ヒューイと共に用兵学者のブルザスに相談した。
「何がまずかったのか、教えてくれ」
その請いに対し、ブルザスは丁寧に状況を聞き、一点指摘をした。
「アッカドが君達より明らかに優れていたのは、君達が戦場に入った丘、ここに戻ってこられたということだ。
ヒューイ、君の作戦はそう悪くない。
ヴィスカールの率いる強い部隊が奇襲を掛けて、帝国軍本体を助ける。
そういう着想は、寡兵で結果を出す為には、一定程度妥当だろう。
だが、定点の見張りを排除した時点で、油断したのかもしれない。
アッカドは、定点の見張りを置いたからと言って油断せず、恐らく動的な周辺監視を続けていた。
だから戻ってきたというのが、大体の線だろう」
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