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3年間、長かった。
誰一人として真曾を男子として扱わなかった。奴隷だ。
バレンタインデーにチョコをもらったことがない。女子が38人もいるクラスで0個。
“くん”付けで呼ばれたことも無い。怪物くんや忍者ハットリくんが羨ましく思えた。自分も藤子不二雄A作品の仲間入りをしたいと夢見た日もあった。
他のクラスの男子からは羨ましがられたもんだ。女子は外面だけは良かった。
この件に関しては響子様から強く口止めされた。
「もしも私達の外で悪いように喋ったら、あんたのキモいスケッチブック燃やすからね」
キモいスケッチブックって何だ?もう最悪だった。どんなに働いてもほとんど褒められなかった。
「ありがとう」の一言を聞いたことがない。
完全に奴隷と成り下がったのは、響子様の足のペディキュアを塗らさせていただいた時のことだ。
白く伸びるしなやかな足。小さい爪に真っ赤なペディキュアを塗った。しくじるなよと自分に言い聞かせ、息もせずに全ての指の爪に塗れた。
完璧だった。ここまでは…。
「あれ?勃ってない?まさか、私の足に興奮したんじゃないでしょうね?」
「ち、ち、違います!た、た、勃ってません!」
本当にそんなことはなかった。だが、響子様に言われたことで意識してしまった自分がいた。
「どもってんじゃねーぞ!キショイんだよ、変態野郎」
響子様の足が真曾の顎を蹴り上げた。天井を仰ぎみる形でそのまま倒れる真曾。
「股間のもっこり見せつけんなよ!」
響子様は足の裏で真曾の性器をスボンの上からグリグリと踏みつけた。
「こいつ、マジキモいんだけど」
「何、泣いてんの?本当は嬉しいんだよね?」
「サイテー、てか、チンコ小さくねぇ?」
クラスの女子から浴びせらる罵倒。
真曾は唇を噛み締め、大粒の涙を流した。
「あんた、私の奴隷ね。盃よ。喜んで飲みなさい」
そういうとさっきまで飲んでいたペットボトルのジュースを口に含み、一気に真曾の顔に吹きかけた。
しかし、それも全て終わる。今日は卒業式。春からは専門学校への入学が決まっている。やっと漫画に専念出来る!
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