第1章

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ここ高宮学園は、地元では人気な、いわゆる中高一貫校だ。成績優秀、文武両道。そんなイメージだろうか。 まだまだ歴史の浅い学校で、校舎からも新しさが伝わってくる。白を貴重として、たくさんの輝く窓、暗い色合いの木枠が使われたデザイン。敷地も広大で、施設も充実している。 中等部、高等部それぞれの校舎ふたつを繋ぐ渡り廊下の真ん中に、玄関と職員室。実験室や音楽室などのある「技術棟」と呼ばれる校舎。いわゆる「学食」と呼ばれる食事施設に、その2階には放課後のみ開放される団欒スペース。さらには、大きな体育館が2棟、更衣室と各部活の部室や物置が組み合わされた「スポ棟」と呼ばれる建物、「道場」と呼ばれる畳の敷かれた小さな建屋、グラウンドはもちろんのこと、美しく整備された中庭と、テニスコート。屋外、屋内にそれぞれプールもあり、トレーニング器具が完備された「ジム」と呼ばれる校舎もある。 それから僕のお気に入りの、一般開放もされる大きな図書館。 もともと普通の中学校、公立高校だったふたつの学校を合併させ、この学園はできたらしい。 部活の強豪校にするはずが、この美しい外観と施設のクオリティの高さから入学希望者が殺到し、倍率の高い受験戦争を乗り切った生徒達は、自然と偏差値も高まったというわけである。 ここ数年で高等部には「特進」なんていうエリートクリスも設けられ、進学校への道にさらに拍車がかかっているような状態。 個人的には、大騒ぎしたり、「ノリ」なんていうものも苦手なわけで、この学園の落ち着いた雰囲気はかなり気に入っていた。
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