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「さよー!置いてくよー!」
「はーい!今行くー!」
離れたところで待っていた友人らしい女子達に声をかけられ、ミヤタサヨは慌てて立ち上がり、スカートをはらいながらまた笑った。
「あは、行かなきゃ。」
「そうみたいだね。」
「ね!三宅くんさ、今度ゆうちゃんと3人で遊ぼうよ!」
「うん、もちろん。ね、ゆうちゃん。」
「うるせぇよ!」
「はは、ごめんて。」
「よし!じゃあ楽しみにしてるね!またねー!」
「ばいばーい。」
大きく手を振り駆けて行く彼女を見送り、チラリと中野を見る。その視線に気づくやいなや、
「いや、なに?幼馴染みですけど?」
「ああ、ちがうよ。ちゃかそうとしてるわけじゃなくてさ。」
「じゃあなんだよ。」
「幼馴染みって、本当にあるんだなーと思って。」
「そりゃあいくらでもあるだろ。俺んちは特に周りはがっつり住宅街だし?幼馴染みっつっても幼稚園のころから同じで、ほかの奴よりはよく遊んでて近所ってだけ。」
「いやー、なかなかないよ?なんか、羨ましいなーって思っただけ。」
「そうか?てかもう移動しないとやばくね?」
「まじだ!やばい!」
慌ててパンのゴミと牛乳のパックを広い、近くのゴミ箱に投げ捨てる。すでに時計は午後の授業の10分前を指しており、気づいたら周りにちらほらいた生徒もほとんど見当たらなかった。
「ほーらほーら置いてくぞー。」
同じ歩数で走っているはずの中野がにやにや笑いながらどんどん遠くなっていく。
そりゃあそうだ。向こうは14歳にして176cm。こっちは159cm。リーチもあれば、体育会系の体力もある。一方こっちは文化系。
ああもう神様、こんな小さい不平等からも戦争は起きると思うよ僕は。
無駄に広い中庭が今は憎くて仕方なかった。
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