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「りいとに近付くな」
「……あ?なんだお前。邪魔すんなよ」
「誰彼構わず手を出すような奴は、信用できない」
「は、番犬風情が俺に楯突くんじゃねぇよ」
「番犬じゃない。友達だ」
「友達ぃ?ハッ大いに結構。
一生その立ち位置に甘んじてろよ」
「……なんか文句あんのか」
「いや?“お友達”なんかより、リトと親密な関係の俺からは、特になにも?」
近距離で睨み合っているかと思えば、挑発するように鼻で笑う会長に柚木はぴくりと反応した。
……なんか、
「……ちゅーしそうな距離だなぁ……」
「!?!?」
二人を見てついポツリと漏らした言葉に、同時に勢い良くこちらを振り向く会長と柚木。
息ぴったりだな、おい。
「リト!?ちが、俺はお前以外と、もうそういうことはしないって決めてんだからな!?」
会長が慌てたように弁明している。
そういうことってなんだよ……?別に咎めている訳じゃないから好きしたらいいと思うぞ俺は。
「りいと……この下半身の緩い男とそんな気色悪いこと、俺はしないからな」
「おい、リトに変な事吹き込むんじゃねぇ」
「変じゃない。事実だ」
「うっせぇ!アレは黒歴史だ。
忘れろ、今すぐ忘れろ」
「りいとに近付くな、汚れる」
「あぁ!?わんころが出しゃばってんじゃねぇよ!」
「りいと、あの男はちょっと自分の好みってだけで手を出してくるような下半身の緩い男だからな。近付くな、危険だ」
「おいやめろ、言うな」
「女でも男でも関係ないらしいからな、気を付けろ」
いつにも増して饒舌な柚木に捲し立てられて、思わず「お、おう……」と気圧されながら返事をすれば会長にガシリと肩を掴まれた。
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