王道転校生と鬼ごっことその後日

14/33

884人が本棚に入れています
本棚に追加
/287ページ
「……ねぇ、僕も初耳なんだけど。どういうこと?黎」 会長に続き、明先輩までもが笑顔で凄んでくる。 双子の間で情報共有が行われていなかった事が少し意外だったが、まぁ悪戯っ子の悪魔のことだ。 弟の明先輩をちょっと驚かせてやろうとかそんな事だろう。 なんてひとりでに納得している間に、何故か会長も付いて来るという話になっていた。 そこに笹塚や柚木も「俺も行く」と言い出したかと思えば、今までずっと面白そうに成り行きを見ているだけだったチャラ男会計まで「じゃあ俺も〜」と便乗する始末。 なんだか段々と大事になってきたが、この双子の兄はどうするのだろうか、と視線を向けてみれば何が楽しいのかにこにこ笑顔で。 もしかするとこうなる事も織り込み済みだったのか、案外あっさりと「いいよー」と上林兄は頷いたのだった。 「どーせなら、翠ちゃんも誘ってみーんなでお泊り会、しよっかぁー!」 キラキラと純粋な少年のように瞳を輝かせながらそう言った上林兄だが、その心の内には一体何を企んでいるのか。 自分では予想もつかないあたりがまた、恐ろしい。 しかし副会長も誘うとなると、そのお泊まり会の時には少なからず顔を合わせる事になる訳か……。 できればそれまでには今のこの状況を何とかしたいが……もし無理なら、その時に強硬手段に出る事も考えておこう。 上林兄のお願いから始まった、双子のお家へのお泊りの話が、気付けば大人数でのお泊り一大イベントと化してしまった。 これは鬼ごっこの時くらいに労力をもぎ取られそうなイベントが発生してしまったな……と、少し夏休みが憂鬱になった俺だった。
/287ページ

最初のコメントを投稿しよう!

884人が本棚に入れています
本棚に追加