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「何を言っているんだ、神崎。
私が君に、渡したいと思ったのだ。」
貫かれそうな程に真っ直ぐな瞳でそう言う風紀委員長に、田崎君も同意する。
「大丈夫だよ、神崎君。
風紀委員長と副風紀委員長が良しと判断したんだ。
それに、風紀委員に入っていないとお面を持ってはいけないという決まりはないんだよ。」
「なるほど……。……ん?副風紀委員長?」
なんとなく田崎君が発言した、副風紀委員長という言葉が引っかかった。
俺、副風紀委員長とは面識ないはずだけど……。
そもそも誰かも知らないし。と首を傾げていると、田崎君が「あ」と声を上げた。
「ごめんね、言ってなかったかな……。
俺が副風紀委員長です。」
「……え!?」
衝撃の事実。不覚。
事前に調べたと言っても、風紀委員は王道的絡みにもあまり出てこないからザッと目を通した程度だったのだ。
故に、まさか田崎君が副風紀委員長だったなどとは、夢にも思わず。
というか、てっきり同学年だと思って“田崎君”などと馴れ馴れしく呼んでいたが、もしかしてもしかしなくても……田崎君って先輩なんじゃ……!?
なんてこったい……!こんなの他の風紀委員の人達に知られたら不敬罪で処されるぞ……!
「ふ、副風紀委員長……!すみません、俺知らなくて……色々失礼なことを……!」
「いやいや、そんな改まらないで?
それに副風紀委員長って呼ばれるのは……なんか、壁感じるし……」
「えっと……じゃあ、田崎先輩……?」
俺より高い位置にある顔を窺い見ると、彼は考えるような素振りをみせた。
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