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ゲームスタート
くく、と喉を鳴らすように目の前のそいつは笑った。
「何がおかしい?」
「いいや、別に?」
そう言いながらも、さも愉快だ。と言わんばかりに男は目を細くする。
あぁ、本当に胸糞悪い。
ヤツの挑発的な笑いも、
今のこの、状況も。
全て、胸糞悪い。
「……本当なんだな?」
努めて冷静に、抑揚を抑えた声でヤツに問う。
「あぁ。神に誓って」
神なんて信じてないくせに。と楽しげに口角をつり上げている男を睨み付ける。
「心配しなくても、これは“契約”だ。
破棄したりなんかしない」
言ってまたくく、と喉の奥でヤツは笑った。
本当、胸糞悪い。……けど。
ヤツが“契約”という言葉を持ち出してきた以上、信じる他ない。
それほど、自分達にとっては意味のある言葉なのだから。
「……わかった。条件を呑む。
だから、条件を全てクリアしたその時はーー」
「あぁ。」
わかっている、とでも言うように男は俺の言葉を遮る。
「お前に、自由を」
その言葉に、コクリと頷く。
「ゲームスタートだ」
男は酷く愉しげに笑った。
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