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《ポタリ…》
《ポタリ…》
紅い水滴が地面に吸い込まれる。
「ツッ」
声を押し殺し腹を押さえ鉄の柵にしがみつくようにもたれかかった。
薄暗い中辺りを見渡し動くモノがいない事を確認しそっと溜め息を吐く。
「早く死にたい」
紅く染まった手を見つめ一人愚痴る。
辺りは屍の山…
一体何時までこんな事が続くのか考えるだけで嫌気がさす。
《ガシャン》
錠の落ちる音と共に罵声が降ってきた。
「オイ!このクズさっさと起き上がれ」
少年の銀色の髪を鷲掴み傷口を蹴った。
「ゲホッ」
少年は腹を抱え込みその場にうずくまる。
それを満足そうに見つめる男。
「ククッ そんな所にへばりついてないでさっさと起きろよ“118”」
自分には名前が無い。
あるのは来栖に連れてこられた時の忌々しい番号“118”だ。
―来栖(クルス)人身売買を売りにする時空間の闇企業―
あの言葉で売り物は逆らう事の出来ないようにされた。
足枷となり自分の意志とは関係なく従う様にプログラムされてしまった。
実際に自分は起き上がり男の前に跪く。
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