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「ダブルデートぉ!?」
とある放課後。
奈々美のあの驚きの告白から数日とたたず、また私はオレンジ色に染まる教室で素っ頓狂な声をあげていた。
「しぃーっ! しぃーっ! 他の人に聞かれたら恨まれるっ!! どうにか漕ぎ着けた大切な約束なんだからっ!」
奈々美の柔らかな手のひらで口を塞がれ、叫んだことも手伝って軽い酸欠を起こしそうになった。
……って、倒れてる場合じゃないっ!!
どういうこと、それ!?
「……遊佐先輩と奈々美が2人でデートなら百歩譲ってまだわかるよ? なんで私がそこに参加しなきゃいけないわけ!?」
まったく理解できない!
私は無垢な笑顔でニコニコする奈々美にグッと詰め寄った。
奈々美はふるふると頭を振る。
「ダブルデートじゃないよぉ。 男女5人ずつ!」
「なっ……!?」
ーー奈々美の言うことは、こういう内容だった。
遊佐先輩とお近付きになりたい。
でも、学年も違うしいいキッカケもなく、どうすればいいかと悩んでいた。
可愛くて器量良しな奈々美はもともと男の子にモテる。
そこで、知り合いの遊佐先輩の同じクラスの男の先輩に頼んで、今回の件をセッティングしてもらったーーー。
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