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出た! 奈々美のうるうる攻撃。
でも私はこの瞳に弱い。
女の私でも可愛いと思ってしまうし、それに、こんなに恋愛から遠い生活をしている私を、他の女の子同様に扱ってくれる奈々美に日頃から感謝していた。
「……いいよ。 しょうがないなぁ。 でも、遊佐先輩、よく了承してくれたね」
奈々美の顔が一気に明るくなった。
「やったぁ! さすが姫子! ……遊佐先輩、男友達を大切にしてるみたい。 誘えばすぐノってくれるって言ってた。 だから、男の先輩にお願いしたの」
「へえぇ~……?」
なんだろう。
なんだか意外だな。
って、別に遊佐先輩のことをそこまで知っているわけじゃないけど、あの日の『変な』印象の先輩とは何かが違う。
女の子を泣かせるほど簡単にフッてしまう割に、男友達の誘いは何でもノってくれるなんて……?
実は、奈々美には先日の件は言っていない。
……遊佐先輩の後をつけて、間近まで接近して会話までしてしまったこと。
普通に報告して見たことをそのまま伝えればいいだけなのに、変な罪悪感が心にこびりついていた。
多少なりとも、遊佐先輩の綺麗な外見や立ち振る舞いにドキドキしてしまったことは、奈々美に対する裏切りのような気もしたし、私の中でも無かったことにしたかった。
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