第4章

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その日の帰り道。 私は、毎日の日課になっている、ウィンドウショッピングを楽しんでいた。 ウィンドウショッピングといっても、歩道からガラス越しに店内を本当に覗くだけ。 店内に足を踏み入れたことはないし、そんな勇気はさらさらなかった。 小さな構えの小さなお店。 個人経営をしているその店舗は、内部のクロスがパステルカラーで彩られていて、置いてある商品もすべて若い女の子向け。 雑貨小物から洋服まで、見ていて目がキラキラと輝いてしまうようなものばかり。 さらに、隣には同じくらい小さなカフェがあり、ガラス越しにマカロンや小さなお菓子がお洒落に並べられている。 帰り道、友達と小道で別れてから路地を入ってこの2つのお店を順番に覗いていく。 通学路から少し外れてしまうけれど、そのお陰で堂々とこうして店内を眺めることができる。 同級生に見られたら、「私のじゃなくて、友達へのプレゼント用に見ていたの」なんて、万が一のための言い訳まで考えながらいつもそこに立っていた。
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