第4章

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それから数週間と経たずして、奈々美から誘われたグループデートは実行された。 とはいえ、お金もない中学生たち。 おこずかいも小腹が減ったときのおやつや、ちょっとしたお出掛け用の服などに消えていく。 奈々美と知り合いの先輩とで相談した結果、比較的安価な近場の動物園に行こうということになった。 「あーん、姫子ぉ。 遊佐先輩、私服もすっごくカッコいいねぇ~! もう、芸能人みたい! むしろそれ以上! どうしよう、鼻血吹きそぉ……」 待ち合わせ場所の動物園入り口に男の子軍団を見つけた瞬間から、奈々美はこの台詞をもう10回以上言っている。 「聞いてる? 姫子! 5人ともレベル高いけど、遊佐先輩は比較にならないくらい素敵だよね。 背も高いし、みんなが振り返っていくし……あんな人が彼氏だったら夢みたいだなぁ……」 ほわあぁぁぁん……と、奈々美はどこかの世界へイッてしまっているようだ。 私は小さくため息をついて、後ろにいる先輩たちに聞こえてるんじゃないかとヒヤヒヤしながら小声を出した。 「聞いてるけど……私は遊佐先輩見てるより、こっちの猿山見てる方がいいなぁ……」
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