第4章

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「俺さぁ、腹減ってきちゃったよ。 昼飯どこで食べる?」 「え!? もうですか!?」 スルッと奈々美の肩にその軽そうな先輩の腕が回って、強引に猿山を見下ろす手すりから引き剥がされた。 奈々美が嫌がる素振りを見せても、先輩はまったく意に返さない。 奈々美……後悔してるんだろうなぁ……。 本来の目的である遊佐先輩は、一緒に来たクラスメイトの女の子2人が両側から挟み込んで、キャッキャ言いながら歩き出している。 笑顔で歩いている遊佐先輩は、ホワイトベージュのパンツに青系のシャツ。 人によっては嫌味な感じになりそうな爽やかすぎる配色なのに、先輩が着るととてもしっくりくる。 それでいて女の子がみんな惹きつけられてしまうのは、きっと遊佐先輩がまるで格好つけていないところにあるんだと思う。 振る舞いはどこまでも自然体。 男女の区別なく、誰にでも優しい。 そこまで知って、ただ、私の中で疑問なのは、どうして遊佐先輩はこんなに派手な人たちとお友達なのかということ。 でも、多少の違和感は感じつつも、“ 遊佐先輩は遊び人 ”というブラックな噂の正誤が見極められない限り、本当の答えは導き出せない気がしていた。
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