第4章

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お昼にはまだ早すぎるということで、ウサギやハムスターなどを抱くことができる触れ合いコーナーに移動することになった。 その途中で、女の子たちでお手洗いに寄り、私以外の4人がメイク直しを始めたので、私は先輩たちに混ざって外のベンチでみんなを待っていた。 「名前、姫子ちゃんって言うんだね」 突然遊佐先輩が隣に座ったので、ギョッとして見上げてしまった。 「え……あ。 は、はい……」 背が高いので至近距離に来るとちょうど日差しが遮られる。 日焼けしなくていいかも……。 「俺は、遊佐壮二。 苗字はなんていうの?」 先輩の名前は知ってました……そう思いながら、「有栖川です」と答えた。 「ありすがわ……長いね。 うーん……呼びづらいから、姫ちゃんって呼んでいい?」 「え!?」 さらにギョッとしてその顔を凝視した。 今日は暑くて歩いていると汗すら浮かんでくるのに、先輩はサラサラのキラキラ…… じゃなくて! ひ、姫ちゃんだなんて、親以外から呼ばれたことないんだけど! 親しい女友達から姫子ちゃんって呼ばれることすら、ムズムズするのに。
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