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私はすぐにベンチから立ち上がった。
「ちっ、違いますから! それ、先輩の大きな勘違い……っ」
「ーー姫子、どうしたの?」
そこに、メイク直しタイムの終わった女の子4人が戻ってきた。
「! な、奈々美……」
メイクは完璧。
といっても、メイク直し前と後で、何が変わったのか私にはよくわからないけれど。
とにかく、私と違ってメイクも服も頑張っているこの4人こそ、本物の〝 女の子 〟だとは思う。
私と遊佐先輩の様子を見て、奈々美は私の腕をとって引っ張り、コソコソ話をしてきた。
「なに!? なに!? 何話してたの!?」
「や……別に、なにもっ!?」
「もしかして私のこと!? 遊佐先輩、何か言ってた? あの子可愛いねとか、携帯番号知りたいとか」
「……えぇっ!?」
……奈々美がポジティブな子で良かった。
遊佐先輩を好きだなんてあり得ないけれど、勘違いされているなんてこと、奈々美には言えない。
ホッとしたのも束の間、視線を感じで振り向くと、石藤さんと目が合った。
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