第2章

3/21
前へ
/256ページ
次へ
今日も、授業終了のチャイムが鳴る。 しばらくすると帰宅を促す校内放送が流れ、放課後を知らせる音楽がかかった。 外はまだ明るく、部活動に精を出す生徒たちの声が廊下の向こうから聞こえてくる。 初夏の匂いが教室の窓から風に乗ってきて、あまりの気持ち良さに伸びとともにあくびが出た。 「姫子~、おへそ見えたー!!」 クラスで一番気の合う友達、奈々美(ななみ)が長い髪を揺らして笑った。 教室にはもう私たちしかいない。 奈々美が内緒の話があると言うので、皆が帰るのを待っていた。 「……いいじゃん、見られて困るわけじゃないし」 唇を尖らせ、でも一応制服の裾をささっと整える。 奈々美はエクボを作ってさらに笑った。 「姫子はもうちょっと女の子らしくしなきゃぁ。 まぁ、そこが姫子のいいところなんだけど」 奈々美は可愛い。 ザ、女の子って感じの、私とは真逆の外見をしたタイプ。
/256ページ

最初のコメントを投稿しよう!

963人が本棚に入れています
本棚に追加