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今日も、授業終了のチャイムが鳴る。
しばらくすると帰宅を促す校内放送が流れ、放課後を知らせる音楽がかかった。
外はまだ明るく、部活動に精を出す生徒たちの声が廊下の向こうから聞こえてくる。
初夏の匂いが教室の窓から風に乗ってきて、あまりの気持ち良さに伸びとともにあくびが出た。
「姫子~、おへそ見えたー!!」
クラスで一番気の合う友達、奈々美(ななみ)が長い髪を揺らして笑った。
教室にはもう私たちしかいない。
奈々美が内緒の話があると言うので、皆が帰るのを待っていた。
「……いいじゃん、見られて困るわけじゃないし」
唇を尖らせ、でも一応制服の裾をささっと整える。
奈々美はエクボを作ってさらに笑った。
「姫子はもうちょっと女の子らしくしなきゃぁ。 まぁ、そこが姫子のいいところなんだけど」
奈々美は可愛い。
ザ、女の子って感じの、私とは真逆の外見をしたタイプ。
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